(2012年2月号)
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考えの整頓
考えの整頓
佐藤 雅彦 著
●暮しの手帖社 ●283P ●ISBN 9784766001716 ●税込1,680円
 テレビが地デジ化して久しいこの頃、やっと我が家も録画機器を導入した。難しい
操作はなく、時間がずれても修正してくれる優れものだ。たまたまチャンネルごとの
視聴時間を見たところ、Eテレがダントツに多かった。
 今、Eテレは一見子ども向けの、しかしながら確実にマニアックな大人が好むアー
ト番組が多いのである。「デザインあ」などはその最たるもので、こんな素敵に不可
解なものを見て育つ子ども世代は幸せだな、と感心しきっている。
 アート傾向の先駆け的存在は、やはり「0655」、「2355」や「ピタゴラスイッチ」の
企画監修を手がける佐藤雅彦だろう。彼が2007年から暮しの手帖で連載してい
たエッセイ『考えの整頓』が出版された。
 日々に潜む混沌を言語化し、昇華する面白くて鋭い考察集。おまわりさんの地図
の収納場所から耳紋まで彼の興味の先は尽きない。こんな視点が持てたら、思考
ができたら、毎日退屈しないだろうな。 (小松店 S)

不道徳教育講座
不道徳教育講座
三島 由紀夫 著
●角川書店 ●341P ●ISBN 4041212073 ●税込660円
 逆説が持つ説得力
 あなたは三島由紀夫と聞いて、どのようなイメージを持つだろうか?
 『金閣寺』を書いた人、人騒がせで派手好き、切腹して亡くなった作家・・・。いずれ
にせよ、そこには良い意味でも悪い意味でも「変わった人」のイメージが根強いよう
に思う。
 このように、一般人離れした感性の持ち主であった三島が、彼なりの理論で道徳
教育について熱く語ったのが、本書『不道徳教育講座』である。目次に並ぶ不穏な
章題、「知らない男とでも酒場へ行くべし」、「大いにウソをつくべし」、「先生を教室
でユスるべし」・・・。約70章に及ぶ、世の不道徳とは何ぞやを説いたこの一冊。危
険な章題とは裏腹に、三島が不道徳のイロハを丁寧に説明してくれるその真面目
さが、逆に読者の笑いを誘うのである。
 三島は何も、世の中に不道徳を広めようとしている訳ではない。むしろその逆で
不道徳な輩がこの本を読んで「自分は生粋の悪だと思っていたが、上には上がい
るもんだなぁ〜」と感心し、良心を思い出し、改心して欲しいという願いを込めて、本
書を執筆したのだ。
 この機会に自分は悪人だと思う方も、善人だと思っている方も、三島流「不道徳
講座」を大いに堪能してみてはいかがだろうか。 (柳橋店 Y)